日本人は知らない世界の葬儀事情~ヨーロッパ編~
終活や葬儀について
世界の弔い事情も早3回目。今回は「自由の国」アメリカ合衆国です。さまざまな人種が入り混じるアメリカにはどんな弔い事情があるのでしょうか? 調べてみると、日本とは異なることがたくさんありました。
前回紹介したヨーロッパと同様に、アメリカ合衆国もキリスト教徒が7割を占めており、葬儀もキリスト教式が一般的です。そんなアメリカでは、近しい人が亡くなると新聞に死亡広告を出す習慣があります。故人とゆかりのある方は、その死亡広告を見て、葬儀日時や場所を知ることになり、我が国のように葬儀案内を出すことはありません。
また、葬儀では、親族以外の一般会葬者は喪服を着用する習慣もありません。もちろん派手な色合いの服や過度な露出はNGです。この背景には、残された家族や知人で悲しみを共有する日本と違い、アメリカでは葬儀を「故人の新たな旅立ちを祝福する儀式」と考えていることが多大に影響しています。
そんなアメリカの葬儀で驚くのが、地元警察の協力体制。葬式後、墓地に向かう葬列の先導と最後尾は白バイが担当してくれるほか、道中の信号はすべて赤信号の点滅信号になるなど、警察が葬儀に対して手厚く協力してくれるのも見逃せません。
フューネラル・ビジネスすなわち葬儀ビジネスが産業として確立されているアメリカでは、葬祭業者は「フューネラルホーム」「フューネラルディレクター」と呼ばれ、社会的地位も確立しています。葬儀業を営むためには、葬儀ディレクターとエンバーマーの資格が必須であることから、葬儀に関しての専門知識を学べる学校もあり、その代表格が1882年に開校した「シンシナシティ葬儀科学大学」です。もともと土葬が中心だったこともあって遺体の保存技術が発達していたアメリカならではのエンバーミングを専門に学べる学校です。
アメリカには、日本のように香典の習慣がないため、葬儀保険なるものがあるのも特徴です。生前に保険契約し、葬儀の細部に亘るまで自分で準備をしておくというから驚きです。
ハワイ諸島で行われている洞窟での密葬をはじめ、先住民の歴史と伝統を感じさせる唯一無二の弔い方法が今も残る地域があります。その中でも特異なのが、ニューオリンズ。ジャズ発祥の地として知られるこちらでは、ブラスバンドによるジャズ演奏で墓地に向かうときは厳かな曲を、墓地から家に戻るときは賑やかな曲が演奏されるそうです。
このようにアメリカには、自由の国の名に恥じないさまざまな葬儀事情があります。アメリカ旅行などの際は、カトトピ編集部イチオシのスポット、国立葬儀史博物館@ヒューストンへ足を運んでください。歴代の大統領の遺体を運んだ霊柩車や初代大統領・ワシントンの葬儀の請求書などを展示している、世界唯一(?)の葬儀をテーマにした博物館です。
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