エッ! 知らないの私だけ!? 弔いの県民ショー ~東海・北陸・関西編~
その他雑学
4回に渡ってお送りしてきた弔いの県民ショーも、いよいよ最終回。
これまで取り上げてきた地方に負けず劣らず、中国・四国・九州も独特な風習がたくさんあります。
距離的な近さもあり、葬送に関しても関西地方との類似点の多い中国地方。故人の方向感覚をなくして家に戻ってこられないようにするため出棺の際に棺を回したり、「この世で使う茶碗はないので、迷わずに成仏してください」という願いを込めて故人が愛用していた茶碗を割ったり、関西地方でも見られる風習が中国地方でも行われています。
岡山県では、故人との最後の膳を囲む「立飯」や故人が愛用していた衣服を女性が持って出棺に立ち会う「置き布」など、出棺の際に独自の風習があります。出棺後は、棺があった部屋にざるを転がし、部屋を清める習慣もあります。
「死」を意味する4つの枕団子を故人に供える鳥取県では、葬儀や告別式の際には二番鉦、出棺の際には寄せ鉦(三番鉦)を鳴らします。「鉦」とは曹洞宗の仏具の一種の打楽器です。
島根県は出雲大社があることもあり、大安の日には葬儀を避けるしきたりがあるなど、独自の風習が根強く残っています。少し変わったところだと、故人が亡くなった際に「広島にお茶を買いに行く」と表現するそうです。「広島」は霊場「弥山」を指し、故人が霊の集まったところへ行ったことを遠回りに表現します。
真言宗の開祖・空海ゆかりの寺院を巡るお遍路で有名な四国地方。
香川県琴平エリアでは、金刀比羅宮のお膝元であることもあり、「死=穢れ」というしきたりが強いため、金刀比羅宮近辺では葬儀を行わないそうです。
うどんのイメージあまりない徳島県ですが、通夜振舞いにはきつねうどんが振る舞われます。また、かつては四十九日の忌明け後に生ものを食べる習慣があり、故人が亡くなってから四十九日法要までの間にまな板を削っていたそうです。この風習の名残から、徳島県では「精進落とし」のことを「まないた直し」と呼びます。
高知県では納棺までは生前と同じように故人に接しますが、出棺時にはしっかりと成仏できるように、煮た大豆や小豆を棺に入れるそうです。
東北地方と並び郷土愛が強いことで知られる九州地方には、古くから伝わる各県独自の風習が今も残ります。
地域によって宗派が異なる福岡県では、読経の際に焼香を行わない地域もあります。郷土愛を感じさせるしきたりとしては、「お櫛田さん」と博多っ子から親しまれている櫛田神社近辺は、霊柩車は避けて通ります。
佐賀では49個の枕団子を供えるほか、午前中に亡くなった場合は納棺せずに仮通夜を行い、24時間経過後に納棺した後に通夜を行うそうです。
近親者だけで通夜振舞いをする大分県ですが、県南エリアでは故人に酒をふきかけるという他ではあまり見られない風習があります。また土葬の名残もあり、参列者に力を付けてもらうために、出棺の際団子を配るそうです。
天孫降臨の地として有名な高千穂峡がある宮崎県は、神道の影響が強いのが特徴。不幸があると半紙で神棚を覆い、葬儀後は棺があった場所をすべて祓い清める習慣があります。
焼酎の聖地・鹿児島県では、別れの杯にはもちろん芋焼酎を使います。また、「もうない」を意味する「もうなか」という鹿児島弁にちなみ、通夜見舞いに最中を持参する地域もあるそうです。
新聞の訃報広告を死亡通知に使う文化がある沖縄県では、地元紙に一般人専用の訃報ページがあるそうです。かつては琉球王朝に支配されていたこともあり、江戸時代に整備された寺請制度が伝わっておらず、檀家制度がありません。また、納棺時には故人の膝を立てることから短く、深さがある棺を使用したり、豚の三枚肉などを枕飾りに供えたり、唯一無二の弔いの風習が沖縄県には数多く残っています。
計4回に渡ってお送りしてきた弔いの県民ショーは、いかがでしたでしょうか。今回紹介した風習以外にも、たくさんあるはずなので、皆さんがお住まいの地域で独特なしきたりなどがあれば、カトトピ編集部までご一報願います。
「川西中央霊園」や「墓じまい」など、知りたい単語を検索していただくことで関連ページを一覧表示します。